コラム:「もっと知りたい!竜脚類」②

これから不定期で、竜脚類の豆知識をご紹介するコラム「もっと知りたい竜脚類」シリーズ。 2回目は、研究者によって年代ごとに、竜脚類の暮らす環境の捉えられ方が変わってきた、 その変遷についてご紹介いたします。   竜脚類の最初の完全な骨格は、19世紀の後期に発掘されました。 それから1950年代までは、そのあまりの大きさに、「竜脚類は自分の体重を支えられないのでは」と考えられ、 そのため陸上ではなく、浮力のある水中(沼地など)で暮らしていたと考えられ、そのモチーフで映画化もされました。 しかし、1970年代、恐竜がほ乳類と多くの共通点を持っていることが明らかになり、この説は否定されたのです。   恐竜がほ乳類と多くの共通点を持っていたというのは、 ・体の下から垂直に生える脚 ・骨格から多彩な活動をしていた様子が読み取れること などでした。それまでの恐竜は大きなトカゲという分類でしたが、 ほ乳類のような盛んな活動をする生物なのではないかという仮説が立てられるようになったのです。 骨格が調べられるうちに、骨の微細な特徴まで、ほ乳類と共通しているということが分かったというのです。   では現在、竜脚類はどのようにとらえられているのでしょうか。 現在竜脚類ともっとも近縁だと考えられているのは、ほ乳類ではなく、鳥類やワニなのです。 生物学的特徴の復元の際、その手掛かりに鳥類やワニの特徴がとても参考になったということです。 巨大ほ乳類というより、むしろ「飛べない鳥」という位置づけが近いというこの説は、 翼竜でもない恐竜についてはちょっと意外な印象を受ける人もいるかもしれません。   鳥類と竜脚類の共通点として挙げられているのは、「肺」。 骨格の特徴から、肺の形はほ乳類よりも鳥類に近いことが解明されています。そして、 鳥類型の肺であれば、竜脚類の長い首も隅から隅まで酸素をいきわたらせることができると考えられています。 また餌を食べるときも咀嚼せず、鳥類と同じように飲み込むことで、食事にかける時間を短縮したとも言われています。 また、恐竜は「赤ちゃん」ではなく「卵」として生まれてきますよね。その点でも、 恐竜はほ乳類ではなく、鳥類に近いと考えられているようです。   参考資料:メガ恐竜展2015