国内初、卵化石の密集地を発見!!
丹波竜が発見された丹波市山南町上滝の篠山層群でまたまた新たな発見がありました。
今回の発見は世界でも珍しく、国内初となる白亜紀前期(1億1,000万年前)の卵化石の密集地です。
この地では、2006年に丹波竜が発見されてから6次にわたる発掘調査が行われ、タンバティタニス・アミキティアエやニッポノウーリサス・ラモーサスが新種化石として発表されています。
今回は、丹波竜発見地からわずか約5m上流の篠山層群泥岩層から卵の形を残した密集した化石群が見つかりました。現時点で発見された卵の数は4個で、まわりには約100個の卵殻化石も発見されています。現地にはまだ他の化石が残っていると思われ、このことが営巣地ではないかと推定されています。
産出された卵化石の概要は、人と自然の博物館から次のように発表されています。
・同一の巣由来と考えられる複数の卵及び卵殻化石
・ 卵化石は非常に小さく、小型の獣脚類恐竜もしくは鳥類の卵である可能性が高い。
・ 恐竜もしくは鳥類の卵化石が密集した状態で発見されるのは国内初である。
・ 世界的にも白亜紀前期(約1億1000万年前)の小型獣脚類恐竜や鳥類の卵化石は稀であり、 今後の研究によって新しい学名が付けられる可能性もある。
・ 現在多くの標本が地層中に埋蔵していることが確認されており、今後の調査によって世界的に 類のない化石標本が産出する可能性が高い。
(兵庫県立人と自然の博物館資料による)
今回の発見で特出される点は、試掘調査が地元の住民主導により行われたことです。昨年の10月19日から22日までの4日間「元気村かみくげ化石調査隊」と発掘ボランティアが試掘調査され、今回の発見につながりました。
丹波竜の発見地は6次調査終了後、現在は作業休止となっており、「このまま化石発掘への関心が薄れるのではないか」との危機感を持たれた地元の上久下地区自治振興会が平成26年8月、平成27年3月に引き続き、試掘調査を実施され、今回の大発見につながったものです。
篠山層群の持つ古生物学上の質の高さと地元の人々の熱意が素晴らしい成果につながり、継続することの重要さを教えられた気がします。
現場には、まだ多くの化石も残っている可能性があり、今後も兵庫県立人と自然の博物館による学術調査を続けられるとのことで、新たな発見に期待がもたれます。
1月8日の記者発表には、多くの新聞社やテレビ局が参加されていました。記者発表での説明に続き、質疑が1時間近く行われ、関心の高さが伺われました。
今回の試掘と発見についても、地元の新聞やテレビ、ネットでも大きく取り上げてもらいました。
神戸新聞、丹波新聞、朝日新聞、読売新聞、産経新聞
たまたま、入手したのですが、遠く島根の新聞にも掲載されていました。
このように、全国での多くの記事が掲載されているのでしょうね。
篠山層群では、竜脚類の「タンバティタニス・アミキティアエ」、哺乳類の「ササヤマミロス・カワイイ」、爬虫類の「パキゲニス・アダチイ」、恐竜卵殻化石の「ニッポノウーリサス・ラモーサス」の(新属・)新種の化石をはじめ、多くの恐竜の歯やカエルの全身骨格など、多種多様で貴重な化石が発見されています。
今回の発見は、個々の化石と違って営巣地など当時の生活の様子もうかがえる可能性があり、ますます太古の世界が広がっていくものと期待されます。
今後も官民一体となった発掘調査が行われ、さらに新しい発見があることに大きな期待がもたれています。