丹波竜フェスタ2015 ~最新の恐竜研究~
12月6日(日)、丹波市春日町黒井の春日文化ホールで「丹波竜フェスタ2015」が開催されました。
今年の丹波竜フェスタには、恐竜研究で世界的に知られるカナダ・アルバータ大学のフィリップス・カリー教授、現在むかわ町の恐竜化石の研究をされている北海道大学総合博物館の小林快次準教授、篠山層群から発見された恐竜卵殻化石を研究し新卵属・新卵種として論文発表されたカナダ・カルガリー大学の大学院生の田中康平氏、さらに篠山層群の化石を代表する丹波竜「タンバティタニス・アミキティアエ」研究の第一人者である兵庫県立大学三枝春生准教授とそうそうたるメンバーをお招きし、最新の恐竜研究について、熱い議論が行われました。
午前中の基調講演では、
最初に、三枝准教授から丹波竜全身骨格の3Dデジタル復元についての講演がありました。復元作業については、現在様々なデータを集めて作成中であり、来年の5、6月ごろに完成の予定だそうです。
次に、田中康平氏から篠山層群で見つかった卵殻化石についての発表がありました。現在は、卵殻化石や巣化石の研究をされており、恐竜の繁殖戦略と恐竜の巣素材とその分類についてお話しいただきました。
篠山層群で発見された卵殻化石は、5種類の小型恐竜の卵殻化石のもので、そのうちの1つが新卵属・新卵種の「ニッポノウーリサス・ラモーサス」です。篠山層群では6種類の恐竜化石が発見され、また、今回発見された5種類の卵殻化石は6種類の恐竜とは異なった小型恐竜と推測され、篠山層群は多様な恐竜が生息する恐竜の営巣地であったと想像されます。
最後に、小林准教授の通訳によりフィリップ・ジョン・カリー教授の講演がありました。
カナダのダイナソー州立公園で発掘調査をされており、そこでは40種以上の恐竜化石が発見されています。ここに広がる堆積物の年代は約200万年間であり、短い期間に40種以上の恐竜が生息しており、その多さが注目されています。さらに、今後小さな化石にも着目すれば、新たな発見の可能性があるようです。
講演後には、小さな子供たちからも専門的な質問が出され、その知識の高さに驚かされました。
午後は、池田研究員の進行でパネルディスカッションが開催されました。
カリー教授からは、「篠山層群の難しい環境(地形、植生、硬い岩など)の中で、これだけ多くの化石が見つかっているのは驚きで、これからももっと多くの発見があるだろう。」
小林准教授からは、「私には、篠山層群がまるで金脈のように見える。」
田中氏からは、「篠山層群は化石産地としてすごいポテンシャルであると思う。」
三枝准教授からは、「トンネル工事の掘削工事の石にかなりの化石が含まれていることが分かっている。」
との篠山層群の可能性を期待する多くの意見が述べられました。
今後、恐竜化石を発見するためには、地域の人々の協力と、それを支援する行政の協力が必要であるとの結論を得て閉会しました。
会場ロビーには、3Dプリンターで制作された恐竜骨格模型がたくさん展示されていて、来場者がその細かい制作技術や出来映えに見入っておられました。
推進協議会は、隣の春日住民センターで協議会活動やフィギュア制作などのパネル展示を行いました。
会場内のコーナーでは、木製の恐竜3Dパズル、動く木製恐竜模型、篠山層群の世界をつくるジグソーパズル、太古の世界の生き物探し等のグッズやアンモナイト石けんづくりワークショップを用意していましたが、小さな子供たちも一生懸命に挑戦してくれながら一日楽しんで恐竜に触れ合ってもらい、丹波竜フェスタともに盛況のうちにイベントを終えることができました。