震災と恐竜と地殻変動と

震災地の皆様にお見舞い申し上げます。今、このときに恐竜を語ることについて考えさせられた一週間でした。地震の影響で開幕が延期されていた「大恐竜展 in 東京タワー」が本日からの開幕となったというニュースとともに、思いをつづります。
3月19日(土)より「大恐竜展in東京タワー」開幕いたします
こういう時期に恐竜を観にいくことの価値について思います(価値はあるという意味で)。 「恐竜.info」への投稿も、震災以来、お休み状態でした。恐竜以上に伝えなくてはいけない情報があるだろう、それを邪魔してはいけないという思いが大きくありました。ただ、いわゆる「自粛」をしても被災者の力になれるわけでもなく、むしろしっかり日本を、その経済を含めて支えなくてはいけないと考えたりもしていました。 丹波にいるぼくたちにとっても、同じような田舎の風景が壊れていく様子を目にするのは、とても辛いことでした。でも、それにめげず、想像し、考えることを絶やさないことが必要だと思います。そのことを通し、被災者の方々の力になり、日本の今後を支える力になっていきたいと願います。 もとより、恐竜時代にも地震・津波はあったはずです。というよりも、今、ぼくたちが太古の地層を目にし、化石を手にすることができるのも、大きな地殻変動があったからこそです。今なら、それら変動のなかで、多くの生命が失われ、悲劇があったのだろうと想像することができます。今、恐竜を見るという行為は、そうした地殻変動がもたらす悲劇を想像することを伴わないではいられません。 そして、その想像こそ、ぼくたちが欠かしてはいけない力なのかもしれません。ぼくたちはえてして、現代という時代を地質年代から切り離して生きてしまいます。そうするとつい、自分だけは大丈夫という、心理学でいう「正常化の偏見」を持ってしまう。自分が生きている大地が、いまも変動しつつある大地であることを、忘れてしまう。 ぼくたちは、恐竜たちが生きていたのと同じ地球の上に立っています。彼らを埋め、現したのと同じ大地のダイナミズムの中に生かされています。こんど、恐竜のことを考えるときは、そんなことを思い出したい。それが、同じ時代を共有する他者への思いやりにもつながるような気がします。この時代の、同じ大地に立つものとして、被災者の方々と心をあわせ、明日に向かいたいと考えています。