恐竜が松ぼっくりをかたくした?

現代の松の球果(松ぼっくり)は硬いですが、これは恐竜に食べられるのを防ぐためだったのかもしれません。
Dinosaur Munchies May Have Bulked Up Pine Cones The next time you step on a big, spiky pine cone, blame a dinosaur. A new study suggests that these seed carriers used to be soft and thin but that they had to toughen up when dinos with long necks started nibbling on them.
松には雄花と雌花があります。雄花はやわらかい房状になっています。後に松ぼっくりになるのは、雌花の方です。この中に、受精した種を隠しているわけですね。 松は昔からこうして雄花と雌花をつけていましたが、その昔は、雌花も雄花と同じように柔らかかったようなのです。それが硬くなっていったのは、ジュラ紀に入ってからのことといいます。とすると、ジュラ紀に何が起こったのか。 考えられるひとつは、植物食恐竜の台頭です。これらが松かさを食べるものだから、それを硬くして身を守るようになった松が生き残っていったと。首の長い竜脚類がどれほどの高さまで食べられたのかは、今も議論が続いています。構造上、それほど首を上げられなかったともいいますし、たとえばディプロドクスの場合だと後足で立って、かなり樹の高いところまで食べられたという説もあります。ただ、ともあれ、たとえ首を高くあげられなかったとしても、5メートル程度の高さまでは届いただろうと。であれば、それらの植生が選択圧になったことは考えられます。 ちなみに、こうした動物と植物の関わり方を、共進化と言います。有名な話では、ロバート・バッカーが唱えた、恐竜が白亜紀に花を広げたという説がありますね。これは、植物食恐竜が低い所の植物をどんどん食べるものだから、生き残るために花を咲かせて植物が広がっていったという考え方でした。 今回の松ぼっくりも、恐竜ではなく、木に登って生活していた哺乳類の影響かもしれませんし、虫の影響かもしれません。ともあれ、子どもたちが喜んで拾う松ぼっくりですが、恐竜時代からの、動物と植物のせめぎあいの中で生まれてきた、ということなのでしょう。そう考えると、松ぼっくりを見る目も変わってきそうです。動物と植物の共進化、考えていくとおもしろいですね。 論文は下記。
Predation and protection in the macroevolutionary history of conifer cones The Royal Society