「鳥は恐竜から進化」を発生学から証明

ニワトリの発生過程を調べたところ、これまで矛盾するとされてきた指の成長が、恐竜と鳥で一致することが分かりました。鳥の祖先が恐竜であることを証明する研究結果です。
「鳥の祖先は恐竜」証明 東北大、指成長の仕組み一致 鳥と恐竜の前脚の違いは「3本の指がどの指から成長したのか」という点。これまで、ニワトリは卵の中では親指と小指が成長せず、「人さし指、中指、薬指」の3本指になったと考えられてきた。一方、恐竜は小指と薬指が退化した痕跡がある化石があり、「親指、人さし指、中指」の3本とされていた。 田村教授らがニワトリの卵で指の成長を促すたんぱく質を手掛かりに調べたところ、3本指に成長したのは恐竜と同じ「親指、人さし指、中指」だった。たんぱく質が成長の初期段階では薬指の位置にあったため、薬指が成長したと誤解されていたが、発生から3日目以降にはたんぱく質が薬指からなくなっていたという。
先日「日経サイエンス記事『血の通った化石』」で紹介した日経サイエンスの記事の中で、印象的だったフレーズがあります。恐竜化石から見つけたのが血球のようだと、先輩研究者ホーナーに相談するシーンです。
すると彼は「では、血球ではないと私に証明してみせなさい」と、うなるように言った。それは非常に魅力的な挑戦で、今でも研究の進め方について考える時に役に立っている。
恐竜が鳥に進化したという仮説も、「そうでない証拠を考えろ」と言われた場合、今回紹介されている指の進化がそのひとつだったわけですね。ところが今回、それが覆されたわけで、「鳥が恐竜から進化したのではない証拠」のひとつが崩れたということになります。論文は下記。
Embryological Evidence Identifies Wing Digits in Birds as Digits 1, 2, and 3 Science 11 February 2011:Vol. 331 no. 6018 pp. 753-757
さて、とすると、「恐竜再生」もいよいよ身近に、というのは気が早いですが、関連して、「エボデボに基づく書籍『恐竜再生』発刊」もお読みください。先ほどの引用文に出てきた先輩研究者、ジャック・ホーナーによる書籍です。視野が広がっておもしろいですよ。
http://www.amazon.co.jp/恐竜再生-ニワトリの卵に眠る、進化を巻き戻す「スイッチ」-ジャック・ホーナー/dp/486313102X/