日経サイエンス記事『血の通った化石』

日経サイエンス2011年3月号に、恐竜化石から発見された、細胞やタンパク質などの有機物についての報告が掲載されています。
血の通った化石 古代の化石は硬い鉱物の塊で,かつてその動物を作っていた細胞やタンパク質などは,長い年月のあいだに分解してなくなっていると言われていた。ところがこの定説を覆して,数千万年前の恐竜化石から血管や爪の一部などが見つかった。
著者のメアリー・シュバイツアーさんは、ティラノサウルスの血球細胞を発見したのではないかとして、注目されてきた研究者です。 化石というのは、有機物が分解されたあとに鉱物がしみ込んでできたものですから、有機物が残っていることは、これまで想定されていませんでした。それをくつがえしたのが、シュバイツアーさんらの発見です。 でも、画期的な発見だけに、センセーショナルな結論を急ぐのではなく、事実をたんたんと報告するように注意されてきたそうです。そんな研究の進捗について書かれていて、大発見を前にした科学者としての姿勢を伝えてくれる、読み応えのある記事です。 それにしても、血球だけではなく、「羽毛らしき繊維」「骨髄骨」「血管」などまで、その後の積み重ねで見つかっているんですね。恐竜学の最先端を伝えてくれます。