書籍『恐竜イラスト百科事典』

……そんなわけで、ドゥーガル・ディクソンといえば、ぼくにとっては、科学的な視点をもとにしつつ、空想上の動物を描くユニークな作家、という位置づけだった。その作家が、恐竜を描いている。それが、本書だ 。……
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 ドゥーガル・ディクソンである。  ぼくにとってこの名は、特別な意味を持っている。今から四半世紀以上前、この人の手になる『アフターマン』という書籍が発売され、書評を雑誌で読んだ。「人類滅亡後の地球を支配する動物たち」という副題がついたこの書籍に、ぼくは魅かれた。未来の動物の進化を、理論的に想像して描いた本だという。  しかし、田舎の高校生だったぼくは、この本を手にすることは無かった。高校近くの小さな書店に入荷されることはなかったし、そもそも自分のお小遣いで買える金額ではなかったと記憶している。  それから25年経って、同じ著者による『フューチャー・イズ・ワイルド』が発刊された。今度は2億年後の世界を描いた作品だという。ぼくはさっそく、Amazonを通じてこの書籍を購入。ついでに、絶版になっていた翻訳本のかわりに、『アフターマン』原著も購入。便利な世の中になったものである。  ちなみに、『アフターマン』はその後、復刊されている。
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 そんなわけで、ドゥーガル・ディクソンといえば、ぼくにとっては、科学的な視点をもとにしつつ、空想上の動物を紹介するユニークな作家、という位置づけだった。  その作家が、恐竜を取り上げている。それが、本書だ(ぼくにとっては)。  収められている生物の数は355種。恐竜だけではなく、クビナガリュウや翼竜など、同時代の大型爬虫類も含まれている。  それぞれの種の紹介は、復元画に加えて、特徴の解説のほか、たとえば「ゴジラサウルス」のそばに、「ゴジラという名前は、クジラとゴリラを合わせた日本語の造語」(そうだったのか!)なんていう豆知識が添えられていたりする。また、その種が分布していた地域を地図で表示し、大きさや生き方の特徴などが枠で囲んで紹介されている。  特色といえば、それぞれのページのコラムスペースだろう。翼竜の翼の構造やオヴィラプトルの食べ物など、最新の研究にもとずくトピックが豊富に紹介されているのが嬉しい。  冒頭には、地質年代区分や恐竜の分類も詳細に述べられており、恐竜に関する記事を読むとき、適宜参照すると、理解の助けになる。足跡、糞石、化石になるまでの過程の解説、古代の環境と、基礎的な項目も網羅されている。  おもしろいのは、恐竜の解剖図が描かれているところだ。昔、大伴昌司さんが、少年雑誌に怪獣の解剖図を描くグラビアページを作ったりしていたように記憶しているが、そんな雰囲気をかもし出していて、楽しい。  ところで、この文章の下書きを書いた数日後。わが家を訪問した妹家族が、もういらないからと、恐竜図鑑を置いていった。1990年発行の『恐竜大図鑑』である。著者に「D・ディクソン」。類は友を、いや、ディクソンはディクソンを呼ぶということか。実はディクソンは、空想だけではなく、こうした図鑑を昔から作っていたのだった。  そんなわけで、なにはともあれ、ディクソンな一冊なのである。
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