毒ヘビの牙はどのようにしてできたか

毒蛇の牙はチューブ上になっていて、相手に噛みついたとき毒腺からの毒を注入しますが、そうした構造がどのようにして進化したか、三畳紀後期の毒牙をもったは虫類を調べることで分かりました。
When snake fangs moved out of the groove The research, reported in the journal Naturwissenschaften1, focused on Uatchitodon, a reptile of the late Triassic period, around 200 million years ago, and known only from its teeth. Although not closely related to snakes, Uatchitodon's hollow fangs suggest it was venomous, and it has given researchers a glimpse into how syringe-like teeth can arise.
毒蛇の化石として見つかっているもっとも古いものは、500万年から2000万年前のもので、それらにはすでに、歯にチューブ上の管が通っており、それらの起源までは分かりません。 そこで、研究者らが注目したのが、ヘビよりはむしろ恐竜に近いと思われている絶滅は虫類、Uatchitodon(ウタキトドン)でした。Uatchitodonのうちでも、見つかっている中で新しい時期のものは、チューブ上の管のある歯を持っており、おそらくは毒牙であったと見られています。ところが、それより古い地層から見つかっているものには、チューブではなく、溝があいていたのです。
Grooves to tubes: evolution of the venom delivery system in a Late Triassic “reptile”
そういうわけで、はじめは溝を伝って毒液を送り込むような構造であったものが、後には溝が覆われてチューブ状になり、スポイトのように毒液を注入する形になったものと考えられました。おそらくはヘビの毒牙も、このような過程を経て進化したのでしょう。ただし、Uatchitodonが本当に毒をもっていたかどうか、実はまだ歯しか見つかっておらず、わからないそうです。顎の骨が見つかれば、毒液を抽出する構造だったかどうかを確かめることができるそうですが。 ちなみに、恐竜で毒牙を持っていたと考えられているものといえば、シノルニトサウルス(Sinornithosaurus)が、ちょうど1年ほど前に話題になりました(参考「毒を持つ恐竜発見、狩猟は毒ヘビ流?」)。こちらの場合は、歯にある溝と顎の構造が決め手になっています。