産業技術総合研究所地質標本館で「レプリカで化石の研究?」と題したサイエンスカフェが開かれます。紹介がてら、最近のレプリカ周りの話題を拾いました。
化石のレプリカというと、どうしてもみなさん、本物の方がいい、という反応を示されます。かつて丹波でフォーラムを開催したときも、「本物は博物館に行ってしまって、地元にはレプリカしか展示されない」という声が出ていました。
美術などの分野では「オーセンティシティ (真実性又は真正性)」という言葉がときに言われますが、おそらくは化石を見るにあたっても、そのあたりの意識がはたらくのでしょうね。
確かに、「これがまさに恐竜の……」と感慨を抱く意味で、本物にこしたことはないかもしれません。でも、それにしたって、しょせんは恐竜の骨そのものじゃありません。名前の通り、石に化したもので、いわばレプリカを地球が作ってくれたわけです。
そう考えれば、レプリカだからといって、卑下することはないですよね。ということで、産業技術総合研究所地質標本館のカフェを紹介します。説明文に注目。
第2回 地質標本館カフェ「レプリカで化石の研究?」
実物の化石から型どりして、そっくり同じ形に仕上げるレプリカは、単なる偽物ではありません。化石の研究にとって、精巧なレプリカは形を詳しく調べるのにとても役立ちます。
第2回目となる地質標本館カフェでは、参加者の皆様に簡単なレプリカを作製していただき、レプリカを使った化石研究について考えます。
研究にとってのレプリカの価値は、説明文でうたわれている通りのようです。
このあたりの事情について、ちょうど昨日、Twitterで古生物学方面の方々がやりとりされていました。下記にまとめられています。
化石のホンモノとニセモノの話
中国で博物館展示の化石標本に「フェイク」が多いというサイエンスの論文を紹介したブログから話が発展して。
これは先に紹介したカフェではなく、下記のニュースに関連してのやりとりです。レプリカはいいけど、真実を偽る「ニセモノ」はいけませんね。
中国の博物館にある化石の95%はニセモノだった
けっきょくのところ、化石に対しているわれわれ自身の気持ちの「真実さ」が問われている、ということでしょうか。